lac_48_2_front_smFinn, M. (2013). Information Infrastructure and Descriptions of the 1857 Fort Tejon Earthquake. Information & Culture, 48(2), 194-221.

1857年1月9日午前、カリフォルニア州サンアンドレアス断層上でマグニチュード7.9の地震が発生した。震源地はフォートテフォン付近。北はメアリーズヒルから南はサンディエゴまで揺れが感じられたという。地震による死者は2人だった。地震発生後、カリフォルニア州住民は地震の原因および被害状況について理解しようと努めた。筆者のミーガン・フィン(現在、マイクロソフトリサーチで博士研究員)は当時のカリフォルニア州の情報基盤(Information infrastructure)に焦点を当てつつ、新聞記事、手紙、その他の定期刊行物を一次資料として、当時のカリフォルニア州住民が地震をいかに理解したかについて考察している。当時の情報基盤として、新聞、手紙、電報と言ったメディアに加えて、これらのメディアを流通させる蒸気船、至急便貨物集配人、郵便制度、電信システムの役割、ひいては地震を記述し記録する(現代とは異なる)当時の慣習(とくに時間の計測に伴う慣習:timekeeping)の果たした役割などにも言及している。

現代の視点から見れば、1857年当時の地震の記述には大きな「欠落」が存在しているように見える。しかし、この論文は当時の情報基盤に注目することを通して、わたしたちの地震の理解の仕方に影響を及ぼすとみられる現代の情報基盤のあり方について示唆を与えてくれる。大学院生以上の教材としてのぞましい。

Yasuhito Abe, University of Southern California

記事: Information Infrastructure and Descriptions of the 1857 Fort Tejon Earthquake

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *