記事:近代化を抱擁する温泉ー大正期のラジウム温泉ブームにおける放射線医学の役割 (2013)

中尾麻伊香.「近代化を抱擁する温泉 : 大正期のラジウム温泉ブームにおける放射線医学の役割」、『科学史研究』52 (2013): 187-199.

著者の中尾麻伊香氏は、科学技術(特に原子力)に関する言説や表象の歴史研究を専門とする科学史家である。原子力に関する科学的知見がメディアの中でどう表象されてきたかを、戦前期からの連続性・不連続性を踏まえて研究しようとする著者のアプローチは、既存の科学史研究に新たな地平を開くばかりでなく、3.11後我々が直面する事態について考える上でも大きな可能性を秘めている。